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片手運転はダメなのに、なんで片足運転はOKなの?

 運転席のドアからヒジを出していたり、ときどきタバコの灰を落したりするドライバーがいる。「後ろを走りたくないクルマ」のワーストワンである。だって、片手ハンドルでしょ。ちゃんと運転していないドライバーの後ろについて走るのは、オソロシイです。

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 それで思うのだけど、ATドライバーは、ほとんどの人が片足操作である。アクセルを右足で踏み、左足はフットレストや床でずっとお休みさせている。

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 そして、ブレーキのときは、こうやってアクセルペダルから踏み替える。加速と減速という正反対の動作を、1本の足で行う。
 トシとって、神経の導通がニブくなると、そりゃ踏み間違いを起こすかもなあと思う。

 以前も書いたけど、ぼくは昔から両足操作である。最初は片足だったが、自動車メディアに入り、サーキットをAT車で走る機会が出始めて、両足に替えた。片足で踏み替えていたのでは、タイムが出ないからだ。いまはF1もWRカーも自動クラッチの2ペダルである。ラクだから右足だけでやってます、なんてドライバーはいませんね。

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 両足操作だと、踏み替えのタイムラグがない。人や自転車が飛び出してきそうな道を通るときは、こうやって左足をブレーキペダルの上方にスタンバイさせておく。最近のクルマにはブレーキ優先制御が入っているため、ちょっとでもブレーキペダルに靴が触れていると、パワー系がダウンして、加速しなくなってしまうのだが、まあ、減速方向にコロぶなら問題ないでしょう。

 もうひとつ両足操作の大きなメリットは、踏み間違いをしないこと。どんなにパニくっても、左足でアクセルペダルを踏んじゃうことはないだろう。箸やゴハン茶碗を逆の手で持つようなものだから。

 運転歴25年のヨメさんも最初は片足派だったが、「トシとったら、踏み間違い事故起こすよ」と言っていたら、10年くらい前に自分で練習して転向した。ブレーキペダルのほうが必ず手前(高い位置)にあるので、最初はどうしてもガックンブレーキになるが、そこを乗り越えれば、むずかしいことはない。きれいに止まるまで、1週間もかからなかったと思う。

 若いときクルマ好きだった74歳の知り合いが両足派だった。そのトシになると、免許更新時に実技試験がある。両足を使っているので、何か言われるかと思ったら、足元を見た教官に「昔からですか? そっちのほうが安全なんですよ」と言われたそうだ。
 じゃあなんでそういうふうに教えないの? 左右にペダルがあったら、左右それぞれの足で踏む。両足派からみると、どう考えたってそのほうが合理的だと思うけど。
 

コメント

No title

レーシングカートは左足ブレーキですし、
できない相談ではないと思うのですが。
マニュアル運転の名残・・・だけなのでしょうね。

安全運転適性検査

職場で
安全運転適性検査(トラック交通共済作)なるものがありまして、毎年受けるのですが、PC画面に映し出される道路に応じた
ハンドル操作とペダル操作をするものです。

操作の反応時間が大きな判定要素なので
普段2脚派の某は2脚で操作をしたところ
同時に踏んでることがばれたらしく
『操作に誤りがある』などの評価になりました。

また、以前大型免許をとった際
たラックのドア窓から顔を出して後退確認をしたところ
『室内後方の窓でも確認してください』と
注意を受けました。
『実際のトラックには目視できる後方窓はありません』と反論しときましたが
はたして教官の方は理解したのかわかりません。

お役所の指導は同じようなもんですね。

No title

マニュアル車に乗る時に混乱しませんか

                   

個人的に混乱したことはありません。

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中嶋悟さん

NAVI創刊当初からの下野さんファンです。

F1日本人ドライバーのパイオニア、中嶋悟さんも両足派だったと記憶しています。ご自身の著書でも書かれていたし、NAVIでの確か下野さんご担当の市街地同乗インタビュー記事でもそう答えていたと思います。

私もレンタカーや社用車のATでは両足ですが、自車のMTに乗り換えて混乱したことはないです。

両足派を否定する人に共通しているのは、左足ブレーキを実際にやってみた経験が無い、という一点だけだと思います。やったことが無い人たちがあれやこれやと理由付けしているだけ。
自転車に乗る練習すらしない人が、自転車は転ぶから危険だ、としたり顔で言っているようなものだと思います。

ペダルが二本で、足が二本あるなら、両足を使ったほうが合理的であるのは言うまでもないことだと思います。
そんなシンプルな話を、自動運転や踏み間違え防止装置とかのデバイス導入に補助金云々とかの話を政治的に持ち出して、話の方向をすり替えていこうとする、何やら腹黒い方々のご意向があるのでは、と邪推してしまいます。
ATの普及率がほぼ100%になる今、両足でスムーズに踏めるペダル配置をメーカーは直ちに考え、実施すべきではないか、それが本筋ではないか、と考えます。

長文失礼致しました。

               

ノリさん

もちろん路上です。運転に関しては超ビビリです。

            

「名乗るほどのものでもございません」さん

足が2本しかないのに3ペダルを操作するMT車は、たしかに難しいです。
だから、とりわけラクチンに目がない日本で、片足操作はAT車の登場時から“売り”として必須だったのだと思います。

No title

昭和は多くがMTでした。モチ3ペダルの。
2〜3速で出たてのATはノークラ(ッチ)なんて呼ばれて当然MTからの移行組。
そして「左足でもイイのよ〜」ということでブレーキペダルが(当時より)あの形だったと。

パワートレーンが進化し、ペダルも自由化でしょう。
多様なユーザーが過渡期なのかと。

ところで足を失った方用のクルマ、ご存知でしょうか。
見た目、普通のクルマです。外観から絶対判りません。

右手でハンドル、左手でアクセル・ブレーキをワンペダル風に操作します。
特に優れた所のないワタシでも普通に運転できます。

ラリードライバーは、クラッチをきって後輪ブレーキターンをやる関係上、MT車でもフットブレーキを左足で踏みます。
運転IQが高いと、何々派なんて関係ないですね。

No title

>運転IQが高いと、何々派なんて関係ないですね。

ホント、それですね!

乗り物変われば、小舟では「棒を右ならフネ左」とか「右手で2つエンジン操作+ハンドル」とか「回転ツマミ付きジョイスティック」とかカオスながらいちいち迷いません。

飛び物では両足使いますし回転翼など「両手の動き方」から違う棒とグリップだったり。

方式には大概慣れちゃうスゴさと馴れの危険と、いずれも人ですね。

私もA/T車を運転する時は両足派です。
30年近く前、BMWドライバーズトレーニングに参加した際、どっちがいいのか?と質問したところ片足がいいよとトレーナーの方に言われましたが、私は片足に戻せませんでした。

No title

せいじさん

Dレインジに入れたままクルマから降りてしまうBMWドライバートレーニングのインストラクターをワタシは知っています。

私もA/T車を運転する時は考えなくても自然に左足ブレーキになりますが、日本車によくあるフットペダルのパーキングブレーキの場合、パーキングブレーキを解除するのに左足で踏んでいるブレーキペダルを右足で踏みなおし、その後左足でパーキングブレーキペダルを操作するという手間をかける必要があるので不便だと思います。

フットブレーキペダルを採用している車種の設計者(プロジェクトリーダー)は、左足ブレーキはやらないのかもしれませんね。

Re: タイトルなし

ウチの軽AT車もこの方式です。トヨタ車に多いですね。
駐車ブレーキオンオフのときは、右足でフットブレーキを踏まないといけないので、大嫌いです。それは両足派の特殊事情にしても、踏むと駐車ブレーキがかかり、解除はそこからさらに強く踏む、という操作方法も、インターフェイスとしてどうなの?と思います。

何れの時期には

きっと未来の世界では、1ペダルになって、その昔の人は2ペダルを踏み分けていたと言われるようになるのだろう。
自動運転で、自己のすべてを、製造物責任にされてはメーカの事業が持たない。不測の事態に備えるという大義名分で、運転する意思を確認する手段として、ハンドルに手を触れること、動かす意思表示にペダルを踏むことを求める。軽く踏むとアクセルで、強く踏めばブレーキになる。強くアクセルを踏みたい場合は、自動運転の世界で存在しない。まあ、ペダルはただの電気的な信号伝達の道具だから、連続的な変化の割合で区別可能である。どうせ電気の頭脳がブレーキを踏むし、ハンドルも勝手に動かす。これなら踏み間違いはない。

現在、踏み間違えたというのが、すべてその通りか疑っているが、まあ、電気の頭脳を疑っては生きていけない。

カックンしました

記事を読んで、先日トライしました。カックンブレーキになったので、相方からは気分が悪くなったとのクレーム。「今度から一人の時に練習してくれ」とのお言葉。
ともあれ、アクセルペダルとブレーキペダルがもっと離れていないとやりにくい感じはしました。革靴を履いていると、窮屈ですね。

JINJINさん

おっしゃるとおり、ペダル位置や、両ペダルの配置などは、基本、片足操作前提になっています。
ただ、両足操作に慣れているぼくの場合、これまでごく一部の例外を除き、運転できないほど不都合を感じたクルマはありません。むしろ、たまに片足でやってみると、みなさんよくこんなに段差の大きいふたつのペダルを踏んでいるなあと思います。

40年前から両足運転派です!

日経新聞のコラム読みました。当方自動車業を営んでおり、昔から左足ブレーキを家族はもちろん、お客さんや友達に勧めていたので、同じ考えの方に出会えて光栄です!早速、記事を色んな人に転送したところ、ある人は会社の朝礼で話したと言っていました。最近、踏み間違い事故がクローズアップされていますが、自動車業の立場から言わせていただくと、昔からこの手の事故は多いです。左足ブレーキを実行している家族やお客さんは事故を起こしません。もっと左足ブレーキを盛り上げていただきたいです!

ながみねさん

ありがとうございます。
聞いてみると、両足派はけっこういます。若い人にメリットを説明すると、練習し始めたという人もいます。
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プロフィール

下野康史(かばた・やすし)

Author:下野康史(かばた・やすし)
「カーグラフィック」「NAVI」の編集部を経て、1988年からフリーの自動車ライター。

●主な著作
「峠狩り」(八重洲出版)
「ポルシェより、フェラーリより、ロードバイクが好き」(講談社文庫)
「21世紀自動車大事典」(二玄社)
「ロードバイク熱中生活」(ダイヤモンド社)
「イッキ乗り」(二玄社)
「図説 絶版自動車」(講談社α文庫)
「運転」(小学館)
「自動車熱狂時代」(東京書籍)
「今度は、この3ケタ国道を走ってみたい」(JTB出版)
「今朝、僕はクルマの夢を見た」(マガジンハウス)  
「乗んなきゃわかんない」(朝日新聞社)

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